溺愛ドクターは恋情を止められない
「だって、なに?」


わかってるくせに。
なにも答えないでいると、私の背中に回った手に力がこもり……。


「会いたかった」

「私、も……」


周りには大勢の人がいるというのに、構わず私にキスをする。
そして私は、それが恥ずかしくもありうれしくもあった。
それくらい、この日を待ちわびていたのだから。


「おかえりなさい」

「ただいま」


彼の優しい笑みは、二年前と変わらない。


「都、勉強進んでるか?」

「うん。頑張ってます」


隣を歩きながら、互いの報告をする。


「都がナースになったら、ここ、貸してやるよ」


彼は自分の腕を叩く。


「えっ、採血させてくれるの?」

「痛くするなよ!」


「昔、小谷にあざだらけにされたな」と笑う彼は、思い出したようにバッグからハガキを取り出し、私に渡す。


「えっ!」

「驚いた?」
< 398 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop