溺愛ドクターは恋情を止められない
「都、救急なんだって?」
ここに来て初めてできた友達、宮田那美(みやたなみ)が耳元で囁く。
「あぁ、うん。那美は会計?」
「うんうん。本当は外来受付がよかったな。あれ? 都、顔、青くない?」
「あはは、なんでもないよ」
まさか病院に就職しておいて、血が怖いなんて、今更言えない。
「まっ、お互い頑張ろうね」
「う、うん」
こうして私の仕事は始まった。
救急外来の受付は他にふたり。
加賀さんと、中川さんという、ベテランクラーク。
他に師長と、ナース達。
そして十五人ほどいる後期研修医の中から、日替わりで外科系と内科系、各ひとりずつやって来る。
後期研修医は、医師免許をとったあと二年の前期研修を終えて、専門の課で学ぶ先生達で、それぞれ専門の科の先生についているけれど、幅広く勉強するために救急を担当している。