溺愛ドクターは恋情を止められない
私が持っているようにと言ってくれたけど、絶対に気持ちは変わらないからお守りに持っていってほしいと、旅立つ前に署名して、預けてあった。
異国の地で頑張る彼の不安を、少しでも取り除きたかったから。
帰ってきたら籍を入れるのは、ふたりの間では決定事項だった。
でも、まさか今日だとは……。
「奏多さん……」
「一秒でも早く、都を俺のものにしたかった。待たせて、ごめん」
彼はサプライズが好きらしい。
いつも感情を揺さぶられて、困ってしまう。
もちろん、イヤではないけれど。
涙がこぼれそうになって俯くと、彼は私の頭をクシャッと撫でた。
左手薬指には彼からもらったダイヤの指輪。
彼は私の手を取り指輪に触れると、「今日から俺の奥さんだ」と囁く。
もう、胸がいっぱいだ。