溺愛ドクターは恋情を止められない

「というわけで、帰って勉強な」

「今日も?」


今日一日くらいは、彼とゆっくり過ごしたかったんだけど……。

今度こそタクシーで帰宅すると、彼はひと目で部屋を気に入ってくれた。
駅から続く坂道は少し大変だけど、小高い丘の上のマンションにはロフトがついていて、天窓まである。


「すごいじゃないか。ここから星が見える!」


ロフトには、彼が置いていった望遠鏡とあの図鑑。
彼と一緒に星が見たくて、ここに決めた。

奏多さんはロフトに座り込み、まだほんのり明るい空を眺めながら、「ずっと見てた」と私の肩を抱く。


「えっ? 星?」

「うん。都も見てると思ったから」

「えへへ。バレてた」


毎日毎日、夜空を見上げることだけは欠かさなかった。
どんなに雨が降っても、雲が月を覆っても……きっと彼も見ていると思っていたから。
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