溺愛ドクターは恋情を止められない
涙目になりながら彼を見上げると、彼は傷に触れていた私の手を握った。
「都がこの傷を褒めてくれたから、自信が持てた」
ずっとコンプレックスだったという無数の傷跡は、彼を苦しめたかもしれない。
だけど私はやっぱり、この傷に感謝したい。
彼の命をつなぎとめてくれたのだから。
「奏多さん……。私……」
私も彼から新しい未来をもらった。
「あなたに出会えて、本当によかった」
ニッコリ笑ってみせたのに、目尻から透明の液体が一粒こぼれていく。
彼が以前言ったように、天の川を渡るのは簡単ではなかった。
二年という長い月日は、本当は苦しくてたまらなかった。
だけど、もう離れない。
彼は私の左手をとり、薬指の指輪に唇を寄せる。