溺愛ドクターは恋情を止められない
あとがき
最後までお付き合いくださいました皆様、ありがとうございました。
救急外来が舞台ということで、シリアスなシーンもございましたが、そこに係わる人達は皆、ひとつの命を救うのに必死でした。
実は私、学生時代に救急外来で受付のバイトをしたことがあります。
そのとき、隣の処置室で患者さんが亡くなっていくという経験を何度もしました。
初めて患者さんが亡くなったとき、それはそれはショックで……。
そんな頃のことを思い出しながら書いてみました。
私はしばしば「命」について取り上げた作品を書くことがあるのですが、奏多や都、小谷が必死に守ろうとしたように、命はなによりも大切なモノ。
でも、長い人生、命なんていらないと思うこともあるかもしれません。
だけど、生きてみなければわからないことがたくさんあります。
少し前、辛いことがありすぎて、長い間自死願望を持っていた人が、「生きていてよかった」とつぶやいたのを耳にして、あまりにうれしくてこっそりと泣きました。
その人は、その胸中に至るまで十年かかりました。
その間、何度も死の誘惑に負けそうになりながらも、歯を食いしばりながら頑張り続け、やっと「生きていてよかった」に到達したんです。