溺愛ドクターは恋情を止められない
辛いことややりきれないことが重なると、もう無理かもしれないと思うこともあります。
こんなこと、乗り越えられるわけがないと絶望することもあります。
でも、乗り越えられるかどうかは、生きてみなければわからない。
チビッコ清春(素直すぎて一番デンジャラスな存在でしたね)は、長い間病気と闘い続け、やっと社会に戻れたのに居場所がありませんでした。
それでも彼が生きようとしているのは、彼自身が生きていることの素晴らしさを知っているのと同時に、母や高原のように、彼を理解し生きて欲しいと強く願う人達がいて、それを伝え続けているからだと思います。
そして高原も。
もしかしたら彼は都に会うまでは、自分が生きていることに自信がなかったのかもしれません。
すべての命を救いたいと思うのに救えない現実。
自分は命をつなぎとめてもらえたのに……という葛藤もあったでしょう。
それが彼を打ちのめしていました。
でも、都が彼の存在を肯定し、こうして生きていることが間違いではないとわかった瞬間、彼は本当の意味で「生きていてよかった」という心境にたどり着いたのかもしれません。
あなたに生きていて欲しい。あなたの存在は私にとって、とても大きい。というようなことを、大切な人に伝えられているでしょうか。
言葉にするのは恥ずかしいし、難しいけれど、なにかの折にそれらしきことを伝えられる人でありたいなと思っています。
読んでくださいました皆様に感謝を込めて。
2015.10.31 佐倉伊織