溺愛ドクターは恋情を止められない
高原の葛藤
それから一台救急車を受け入れると、軽い不整脈で酒井先生の診察になった。
「松浦さん」
忙しそうにパソコン入力をしている加賀さんが、私を呼んでいる。
「はい」
「ごめん。この患者さん、昨日外科にかかってるみたいなんだけど、IDカードを返してもらってないみたいなの。多分外科が返し忘れてるから、外来に行って探してきてくれない?」
「わかりました」
患者の名前と検索してわかった個別番号を聞くと、すぐに外科外来へ向かった。
「すみません。救急です」
外科外来の事務員に、IDを探しに来たことを伝える。
「ごめんなさい。今、手が離せなくて。診察室を入っていった奥にスタッフルームがあるから、そこ探してみてくれない?」