溺愛ドクターは恋情を止められない

外科はすさまじい人であふれていた。
これだけの患者をさばいている先生たちは、本当にすごい。


私は言われたとおり、五診まである診察室の横を通って、奥の部屋に向かった。
外来はもちろん区切られているけれど、ドクターやナースが行き来できるように、中はつながっている。


一診は小柴(こしば)部長。

心臓血管外科を専門としていて、とても有名なドクター。
ここ、野上総合でも看板ドクターと言われている。


なんでも神の手を持つ人らしく、遠くから小柴先生目当てに来る患者さんも多いらしい。

週二回しか外来を持たない小柴先生に患者が押し寄せるのは必至で、今日は忙しいのだと納得した。


二診は、戸塚(とづか)先生だったかな?
救急に呼ばれてきたことのある、四十代の先生だった。

まだ先生の顔と名前が一致しない。早く覚えなくては。
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