溺愛ドクターは恋情を止められない
さらに奥へと進み、四診を通り過ぎようとしたとき、隣の五診から子供の泣き声が聞こえてきた。
「大丈夫だよ。すぐに済むからね」
高原先生?
五診を覗くと、必死に子供をなだめながら、先生が手探りでなにかを探している。
傍らにいるはずのナースも、今は姿が見えない。
検査室に行ったり、患者に次の予約を確認したりする仕事もこなしているナースは、いないことも多い。
その男の子は、手をケガしていて、縫合処置されてあるのが見えた。
高原先生は、心臓血管外科を目指して勉強中だけど、今は一般外科も担当している。
もちろん、経験を積むために。
高原先生が探しているのは……多分、消毒。
救急で内藤さん達のやることを見ていたので、なんとなくどうすればいいのかわかった。