溺愛ドクターは恋情を止められない
「トイレ、間に合いましたか?」
「はい、ありがとうございます」
お母さんが付き添っていないことを不思議に思ったけれど、下の子のトイレだったらしい。
「きちんと消毒できました。いい子でしたよ」
高原先生が男の子の頭をグリグリと撫でると、男の子はやっと笑顔になった。
「また三日後に予約を取ってください。この調子なら、おそらく抜糸になります。お大事に」
先生の声を聞きながら、私もそっとその場を離れた。
その日は特に大きな事故もなく、救急車も少なかった。
そういう時間の合間に、カルテの整理や、ナースの材料の補充の手伝いをする。
「松浦さん、ごめん。これ、倉庫から取ってきてほしいんだけど」