溺愛ドクターは恋情を止められない
「はい。ありがとうございます」
頭を下げる高原先生の表情は、褒められているのにさえない。
疲れているのだろうか。
小柴部長と他のドクターが行ってしまうと、高原先生はオペ着のまま廊下のベンチに座り込んだ。
「先生?」
声をかけていいものか迷った。
だけど、先生の顔が辛そうに見えて、思わず声をかけてしまった。
オペは成功だと言っていたのに、どうしてそんな顔をしているの?
「松浦か。お前なんでここにいるんだ」
「材料を取りに」
「そっか」
そのまま通り過ぎようとしたけれど、先生が気になって仕方がない。
「あのっ」
「なんだ?」
「大丈夫、ですか?」
永遠に続くハードワークが、限度を超えているのかもしれない。