溺愛ドクターは恋情を止められない
「夜勤帯は救急車が五台。そのうち内科一名、整形一名、外科一名が入院になりました。カルテは……」
淡々と続く引き継ぎ。
私達と同じようにナースも、ちょっとした合間を縫って引き継ぎをしていて、朝から殺伐とした雰囲気だった。
「救急車、もう一台入ります。事故の模様」
電話を回したばかりの処置室から、ナースの声が聞こえる。
配属されてから五日。
それほどひどい病気や怪我の人もなく、穏やかな日が続いていた。
だけど、今日は違う。
加賀さんの話では、時々こうして救急車が重なる日があるのだという。
救急車のサイレンが近づいてきて、やがて止まる。
慣れてきたとはいえ、その音がピタッと止まる瞬間は、なんとなく嫌なもの。