溺愛ドクターは恋情を止められない
オペ中に心肺停止に陥ることも珍しくないと聞く。
ましてや小柴部長の手掛けるオペは、他の病院ではどうにもならない難しい症例も数多い。
部長のように余裕がない彼は、毎日毎日、ギリギリのところで働いているのかもしれない。
「それは、全力を尽くされたという証ですよ」
小柴先生はあんなに褒めていた。
たとえオペの後、立ち上がれないほど疲れてしまったとしても、それはすべての力を出し切ったからで、決して悪いことじゃない。
高原先生の技術は、研修医の中ではずば抜けていると耳にしたことがある。
だけど、彼の目標は、それよりずっと高いところにあるのかもしれない。
だからこうして全力でぶつかり、必死に患者を救っている。
“未熟だから”で済まされない現場は、きっと過酷。
だけど、最初は誰だって、未熟なのだ。
それでも、現場に立ち続け、腕を磨くしかないのもまた事実。