溺愛ドクターは恋情を止められない
入り口にはナースがすでに待機している。
「交差点で、左折してきたダンプにはねられた模様。意識レベル……」
最初に降りてきた救急隊員が、メモを片手にてきぱきと状況を伝えている。
救急車のドアが開き、ストレッチャーが見えた。
子供だ。
それもまだ小学校低学年くらいの……。
血まみれの――。
「松浦さん、なにやってるの、先生にカルテ渡して」
中川さんの声で我に返る。
「はい」
私は慌てて用意していたカルテとIDを、処置室に持っていく。
すると、初めて見る研修医が、テキパキ指示を出している。
「ライン確保。それとCTの連絡して」
ベッドに横たわる、全身血まみれでビクリとも動かない少女が、誰の目にも瀕死の状態だとわかる。