【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
カップに残ったブラックコーヒーを、グビグビと一気に飲み干し、私は無言で立ち上がった。
少し冷め加減のコーヒーは、最悪に苦くて舌をじりじりと焼く。
美味しいと思った自分の味覚が、信じられない。
「ご馳走さまでした。それでは、お先に失礼します」
これでもかと丁寧に腰を折って挨拶をして、くるりと出口のドアへと足を向ける。
その背に、社長の声がかかった。
「明日は、外回りをするから、スーツで来るように」
「え……?」
―――外回り?
「スーツで、外回りの、お掃除をするんですか?」
思わず問えば、社長は、呆れたように口の端を上げた。
「そんなワケあるか」
その表情がとても意地悪に見えて、またムカムカと憤る気持ちがこみ上げて来る。