【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「わかりました」
小さくうなずくと、私はもう一度会釈をして社長室を後にした。
腕時計の針は、すでに午前三時を回ろうとしている。
従業員通路から外へと出れば、そこは薄闇に包まれていた。
完全な闇じゃないのは、ホテルの煌びやかな電飾のせいだ。
おかげで、満天のはずの星空も霞んでしまう。
「……っ」
なぜだか、ポロリと、頬を涙の雫が伝う。
――ばか。
何を、これくらいのことで泣いてるの?
しっかりしなよ、篠原茉莉。
あなたは、仕事も勉強も夢も、みんな諦めないって、
そのために、どんなに大変でも頑張るって決めたんじゃないの。
こんなの平気。
ぜんぜん、平気。