【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「あ、靴だけ、履き替えますんで、ちょっと待ってください」
どうせなら、最初から靴を履き替えて店から歩いてくればよかったんだ。
そうすれば社長に手を借りなくてもすんだのに。
そんな、小さな反省をしつつ、
私が、脱いだ服と靴を入れてもらった、やたらとオシャレなお店のロゴ入りのペーパーバックを開けゴソゴソと中を探っていると、社長は「鍵をよこせ」と右手を差し出した。
目の前に差し出された、大きな手のひらをポカンと見つめる。
「はい?」
「俺が運転した方が早いし、安全だ」
ニコリともせずに、不動明王様は反論の余地がない事実をさらりと言ってのける。
――だーかーらー、最初に、言ったでしょうが。
ピカピカの初心者マークで、軽自動車しか運転したことがないって。
それなのに、聞く耳を持たなかったのは、誰ですか?
口に出せるはずもない、そんなツッコミは、喉の奥に押しとどめ、
ニッコリ笑顔と共にバックから取り出した鍵を、差し出された手のひらの上に、ポンと乗せる。