【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
さすがに、持ち主である社長のドライビング・テクニックは完璧で危なげなかった。
それはもう、万年睡眠不足気味の私には、夢の国への甘い誘惑にしか感じないほどの、安定走行。
カーオーディオから流れて来る軽快な洋楽ポップスも、心地好い子守唄にしか聞こえない。
最初はあった痛いほどの緊張感も妙な胸の高鳴りも、十分も車に揺られると、すぐに薄らいでしまった。
こっくりこっくりと船を漕ぎ、ついに私は、自分でも気づかないうちに眠りの底に落ちてしまったらしい。
薄闇の中、最初に感じたのは、音。
耳に届いたのは、とても懐かしい音楽だった。
ピーヒャラ、ピーヒャララと、頭に響く、賑やかな祭囃子の笛の音。