【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
あれはきっと、ずっとやりたかった『金魚すくい』にちがいない。
「え、どれ?」
「あれだよ、祐兄ちゃん、茉莉、あれがやりたいっ」
私は、繋いだ手に力を込めて、彼を、ぐいぐいと引っぱった。
輪の中心を覗き込んだ私は、飛び込んできた光景に、目を丸める。
驚きと、それを上回る、好奇心。
水槽の中でチョコマカと縦横無尽に泳ぎ回っているのは赤い金魚ではなく、五百円玉サイズの小さな小さな緑色の丸い生物。
黄緑から深緑まで、色見本のような色鮮やかな緑色のグランデ―ションの甲羅を背負った、小さな亀たちだった。
「うわぁ、可愛いっ、亀さんだ!」
水かきのついた小さな手足を一生懸命動かして泳ぐ亀たちの姿は、幼い私の好奇心を断然駆り立てた。