【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
祐兄ちゃんは、水槽を覗き込む私の目線に合わせて屈みこんだ。
「ミドリガメだね」
優しいトーンの言葉とともに向けられるのは、眼鏡越しの穏やかな眼差し。
それをじっと見上げて、私は首をかしげる。
「ミドリガメ? 緑色の亀さんだから、ミドリガメ?」
「うん、そうだと思うよ。確か、『アカミミガメ』とも呼ばれていて、正式――、本当の名前は『ミシシッピーアカミミガメ』っていうんだ。ほら、ちょうど耳のあたりに赤い模様が入っているだろう?」
祐兄ちゃんの長い指先の指し示す小さな亀の更に小さな顔を、身を乗り出してじっと凝視する。
くりくりっとした目の下あたり、耳と言うよりは頬に当たる場所に、ちょこんと筆で一筆描きしたような赤い模様が入っている。
緑に赤のコントラストが、とても目に鮮やかだ。
「ほんとだぁ。きれいー。なんだか、お化粧してるみたいだね」
「そうだね」