【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
私の話を、祐兄ちゃんは、ニコニコと楽しそうに聞いてくれる。
嬉しくなった私は、上機嫌でお店のオジサンが渡してくれた薄い紙でできた『ポイ』の棒を、ギュッと握りしめた。
――どの子が、いいかなぁ。
元気に泳ぎ回る子亀たちを目で追いながら、ターゲットを絞り込んでいく。
ふと、水槽の端っこに手をかけて、休んでいるように見える一匹の亀と目があった、
そんな気がした。
――よぉしっ。
あの子にしよう!
意気揚々とでも細心の注意を払って、その子めがけてポイを近づけていく。
横から、すっとポイを水面に滑り込ませる。
そっと持ち明けると、意外なほど簡単に子亀はポイの中に納まった。
そして、はやる気持ちを抑えて、ゆっくりとポイを水面から持ち上げた瞬間、
「あっ!?」
と、声を上げる間もなく『ペロン』と水分を含んだポイは破れて、せっかく掬った子亀は自重で水槽の中へ落ちてしまった。
と思いきや、祐兄ちゃんが受け皿でナイス・キャッチ。
――やった!
すごい、祐兄ちゃん!
私は飛び上がらんばかりに、嬉しくなった。