【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
――あれ?
ここって、まさか……。
「ホテル・ロイヤルの地下駐車場に、そっくり……」
「そっくりなんじゃない。ここは、ホテル・ロイヤルの地下駐車場だ」
丁寧に社長が訂正を入れてくれるが、ちっともありがたくない。
――うううっ。
よりによって、ここで食事ですか。
私のトラウマスイッチが、ONになる。
ここは信じてた婚約者に手酷く裏切られた、まさにその場所。
一カ月半前の痛ーい記憶が、映像を伴ってリアルに蘇りそうになって、私はぶるぶると頭を振った。
あれは、過去のこと。
もう、忘れるって、決めたこと。
「……一つ言っておくが」
「はい?」
「食事の相手は、ウチの大株主だ」
「はい」
失礼がないように、頑張ろう。
そんな決意を込めて、しっかりとうなづく。
「話は俺がするから、お前はひたすら笑って相槌をうっていればいいから。余計な口は挟まないこと」
それは少し残念な気がするけど、ビジネスの話をしろと言われても、今の私には無理だから、まあ仕方ないか。
「……はい、わかりました」