【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
『で、面接はしてくれるんでしょ?』
「面接ならいくらでもしてやるが、雇ってくれとは言わないんだな」
あくまでも面接であって雇用の確約ではない。面接の結果、不採用という可能性だってじゅうぶんあるのだ。
『言えば、無条件で雇ってくれるの? 実力主義で縁故とか大嫌いな兄さんが、相手の適正も見ずにボランティア精神を発揮しちゃう?』
「無条件では雇わない。そんなの雇う側も雇われる側も不幸な結果を招くだけだろう」
問題は、それだけじゃない。
「第一、うちの仕事場は『ラブホテル』だ。雇うとなれば、ルームメイクかフロントをやってもらうことになるだろう。どちらにせよ二十歳の女の子が喜ぶような職種じゃないが、その辺は大丈夫なのか?」
俺の質問に、美由紀は『あー、それねぇ』と、喉の奥で含み笑いをしてから愉快そうに言葉を続ける。
『職種、仕事内容もろもろは聞かないで面接に行くそうです、茉莉ちゃんは』
「は……?」
なんだそれ。
就職を希望する企業の職種や仕事内容を知らないで、どうやって面接時の質問に答えるつもりなんだ?
『一応、大人のお仕事だよって教えておいたから、よろしくお願いいたします。それと社長が兄貴だとは言ってないから、私のことは気にしないで心おきなく面接してね』
仕事は仕事。
友人の兄だからと甘えられても困るから、それは助かるが。
クスクス笑いが止まらない美由紀の言葉に、一つ小さくため息をこぼす。
「わかった。日程は、スケジュールを調整して明日にでもお前に連絡する。それと、これは別件なんだが、昨日薫との正式な離婚が成立した」