【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「は、はのっ、めんれすにひまひた!」
額と鼻の頭をさすりながら、茉莉は立ち上がって自分が面接に来たことを告げた。
その視線は、俺よりも頭一つ分低い位置にある。
子供のころも同年代の子に比べて小柄だったが、身長に関しては成人した今もさほど目覚ましい成長はしなかったようだ。
――うん? この視線、なんだか見覚えがある気がする。
そう、ごく最近、こんな視線で見上げられたような……。
俺を見上げるクリクリとした大きな瞳が、記憶の中の何かに引っかかって眉根を寄せる。
そんなことを考えていたら、不明瞭な言葉が俺に理解できなかったと思ったのか、茉莉は顔をさすっていた手を外すと、もう一度同じセリフを繰り返した。
「面接に、来まひた!」
「ああ、面接ね……」
そうだった。まずは面接だ。
記憶を掘り起こすのを中断した俺が無意識に腕時計に視線を走らせれば、午後四時一分。
俺の動作につられたのか、茉莉も自分の腕時計を見て青くなったり赤くなったりしながら百面相をしている。
そして最後に「遅くなって、すみません……」と言って、肩をがっくり落とした。
それはもう、絵にかいたようなわかりやすい「反省」ポーズ。
なんだこれ、面白い。