【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「大学在学中とありますが、アルバイトではなくて社員を希望されているんですよね?」

努めて事務的な口調で問えば、茉莉は「あ、はい」と肯定してから、何かを逡巡するように口を開きかける。しかし、うまく言葉にできないのかそのまま黙りこんでしまった。

『働きながら大学を続けたい』

おそらくそう言いたいのだろうが、それを言えば就職できないかもしれない。そんな恐怖感から口に出せないのだろうと思った。

――俺も、いいかげん、甘ちゃんだな。

そんな自覚はあったが、俺は茉莉に助け船を出すことにした。

「まあ、夜勤専属なら大学に通いながら働くこともできますが、あなたが考えているよりもだいぶきついでしょうね」

「……は?」

俺の言葉の意図がつかめないのだろう。茉莉は驚いたように目を見開いた。

「夜勤の勤務時間帯は17時から深夜2時までで19時から、これは交代になりますが、1時間、食事休憩が入ります」

「……はい?」

尚も特大の疑問符を顔に張り付けたまま小首をかしげる茉莉をみやり、俺は淡々と説明を続ける。

「勤務は週5日で、休日は他の社員との兼ね合いになりますから――」

いったんそこで言葉を切って手元の資料をパラパラとめくりルームメイクのローテーションを確認してから、俺は説明を続ける。

現在、フロント業務の人員は足りているから、新人を入れるとなるとルームメイク、つまり室内清掃しか空きがない。

「そうですね……。夜勤なら、土日のどちらか一日と、月・水・木のいずれかから1日、合計2日選んでいただくことになります」

ここにきてようやく、すでに勤務内容の説明に突入していることに気付いたのだろう。茉莉は、生唾を『ごっくん』と飲みこんだ。


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