【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
おい、マジか。
興奮しすぎて鼻血吹くか、面接で。
お、面白すぎるぞ、お前……。
茉莉は、自分の惨状に気づく気配もなく、言葉に詰まっている俺を不思議そうに見つめている。
さすがにここで噴き出したら気の毒だ。そうは思うが、面白すぎて肩がどうしても小刻みに揺れてしまう。
俺は、咳払いをするような仕草で軽く握った右手でニヤけてしまう口元を隠しながら、席を立った。
そのまま壁際のデスクのところにあるティッシュボックスを取ってきて、無言で茉莉の前のテーブルの上に置く。
「は? あの……?」
この期に及んで、鼻血に気づかない茉莉は、小動物めいたしぐさで小首をかしげる。そのしぐさが笑いのツボにめり込んだ俺は、とうとう噴き出してしまった。
腹筋の痛みに耐えながら「それ、使っていいから」と、ティッシュボックスを指さす。
だが、茉莉は理解できないように、ティッシュボックスと俺の顔を交互に見比べる。
もちろん、鼻血をたらりと垂らしたままで。
俺は、懸命に笑いをこらえて、再び指をさした。
今度は、テーブルの上のティッシュボックスではなく、茉莉の顔を。
そして、語尾を震わせ、ボソリと一言事実を告げる。
「鼻血、出てるよ」
数瞬後、俺の言葉の意味が脳細胞に達したのか、茉莉はぎょっとして鼻の下を両手で覆い隠した。