【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
茉莉はこわごわ両手を広げると、てのひらに着いたであろう鼻血を見て「げげっ!?」という表情を浮かべる。
「早く拭いた方がいいと思うけど?」
「あ、は、はひ、あひがとうごはいまふっ!」
完熟したトマトのように顔を真っ赤に染めた茉莉は、音速のごとくの速さでティッシュペーパーを箱から抜き取り、ティッシュを四つに畳んで鼻の下をぎゅっと押さえた。
いえ、こちらこそ、楽しませてくれてありがとう。
とは、さすがに言えない。
――いや、ほんと、久々に楽しい時間だった。
笑いの波をどうにか乗り切った俺は表情筋を引き締めて、ビジネスモードで面接を切り上げるべく口を開く。
「じゃあ、そう言うことで、月曜からお願いします。何か質問はありますか?」
「あ、はひ。特にないれす」
「では、これで……」
そう言って俺がソファーから立ち上がりかけたとき、デスクの上にある電話が鳴った。
外線ではなくて、内線の『プープー』という呼び出し音だ。
「ちょっと、失礼」
『面接中すみません、佐藤です』
席を立って受話器を耳に当てれば、相手はコンビニからホテルの方に出勤してきた守だった。