【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


ま、間に合った。

どうにか、間に合ったぞ。

ここで茉莉にケガなんかさせたら、篠原の親父さんに顔向けができない。

心の中でホッと安堵する俺の気持ちなど知らずに、茉莉は無言で身体をこわばらせて目をギュッっとつむりこんでいる。

もうほんと、寿命が縮むからやめてくれ。

「……何をやってるんだ、君は」

「ふ……えっ!?」

重低音の声で茉莉の頭上からぼそりと呟きを落とせば、茉莉はさらに全身ピキリと見事に固まった。

「社、社長!?」

俺をクッションがわりに尻に敷いている状況をやっと理解したのか、泡をくった茉莉は振り向きざま、勢いよく立ち上がろうとする。

その刹那、俺は、グイッと強い力で茉莉を引き戻した。

反動で、茉莉は顔から『バフン』と俺の胸元にダイビング。

フワリと柔らかな髪が俺の顔をかすめ、おそらくシャンプーのものだろう、ほのかな甘い花の香りが鼻腔をくすぐった。

瞬間、俺の脳裏によぎった既視感。

この華奢な感触と、ほのかな甘い香りは確か――

なおも腕の中でワタワタと身じろぎをする茉莉を、なだめるように少し腕に力を込めて抱きしめ、ため息交じりに言う。

「いいから少し落ち着け。その勢いで立ったら、今度は天板に腰を打ち付けるぞ?」


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