【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「でも缶コーヒーのブラックって、苦さ倍増なかんじ、しませんか?」

「苦いのが美味いんじゃないのか?」

「私は、苦いのは苦手で……」

そう言って茉莉は、「てへへ」といたずらっ子みたいに笑ってみせる。

ん? 今のはもしかして、苦いに苦手をかけたダジャレなのか?

ダジャレの内容より俺を笑わせようとダジャレを飛ばす茉莉の行動が面白くて、思わずクスリと笑いがもれる。

そんな俺の反応を見た茉莉は、ぱぁっと表情を輝かせた。

――ほんと、見ていてあきないな。

「はい、どうぞ」

心ばかりのお礼にと、冷蔵庫から茉莉が好みそうな『まったりカフェ・オレ』を取り出してさしだす。

自分用には、ブラックコーヒーを取り出し、俺は、冷蔵庫の扉を閉めて社長室に足をむけた。

茉莉は集めた戦利品、ならぬコーヒーカップ類を急いで元の場所に戻し、慌てて俺の後をついてくる。

俺がデスクの椅子に腰かけて缶コーヒーのプルトップを開ければ、追いついてきた茉莉も自分のカフェオレのプルトップを開けて乾杯するように缶をかかげた。

「いただきます!」

その声に答えるように缶を掲げれば、茉莉は嬉しそうにニコニコとカフェオレを一口口に含んだ。

たったそれだけの、何気ないことなのに。

――楽しく感じるのはなぜだろう?


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