【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「こんな時間にどうした?」

『そりゃあ、だいじな親友の正社員採用の可否が気になって眠れないからにきまってるでしょ?』

分かり切っている用件を問えば、美由紀は案の定な答えを返してきた。

「安心しろ。無事合格だ」

『それは、さっき茉莉からメールで聞いたけど、なんだか様子が変だったのよね』

それはそうだろう。

たぶん、そのメールを送っているときは、半べそをかいていたはずだからな。

まさか、そんなことは言えないから俺は「そうか?」と、すっとぼけた。

『茉莉、よろこんでたよね? 感激屋だからきっと泣いてよろこんだでしょ?』

「まあ、そうだな」

『……で、兄さん、茉莉に何したのかな?』

美由紀はそれまでのトーンとは違う、抑揚のない低い声で言った。

まるで、犯人を追いつめる名探偵のような有無を言わせない迫力に、思わず言葉につまる。


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