【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「別に問題ない」

茉莉が軽自動車で通勤しているのは知っているが、普通免許があればこのサイズの車も問題なく運転できる。

それに、社用で外出する際はこの車を使ってもらうつもりだから、今のうちに慣れておいた方がいいだろう。

茉莉の抗議の視線をさらりと視線で制し、俺はさっさと『助手席』に乗り込むと、シートベルトを締めた。

「……そこに、乗るんですか?」

「どこに乗るかは、俺の自由だろう?」

「助手席って、事故った時の死亡率が高いって、聞いたことありますけど……」

だから、後ろへ行って! 

という念波を感じるが、助手席にいた方が万が一の時に動けるから好都合なのだ。

「いいから、早く出せ」

ピシャリと言い渡すと、茉莉は、すごすごと運転席におさまった。

俺用に調整してあるから、茉莉には広すぎて足が届かないのだろう。わたわたと椅子の位置をずらしはじめたその様子が妙にコミカルで思わず笑ってしまう。

シートベルトを装着し、バックミラーの角度を調整し終えた茉莉は、意を決したように車のエンジンをスタートさせた。


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