【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「私、もしかしたら社長に奥さんがいるかもって考えて、そうしたらなんだか悲しくなって……」
俺の反応を見てさすがに説明不足だと感じたのか、茉莉はしどろもどろで言葉を紡ぐも、イマイチうまくいかない。
が、俺には茉莉の言いたいことがピーンときた。
何のことはない。
接待の相手が俺の奥さんだと勘違いして、やきもちを焼いたのだ。
納得した俺は、ニッコリと口の端を上げた。
「へぇ。なるほどねぇ」
自信満々なその笑顔に内包される不穏な空気を察知して、茉莉の頬がひくっとひきつる。
「嫉妬してくれたわけだ。それで俺が好きだと自覚したと」
いや。なんというか、かなりうれしいんだが。
「……はい」
茉莉は顔を真っ赤に染めて、コクリとうなずく。
――なんだ、このカワイイいきものは。
思わず抱きしめたい衝動に駆られるが、なんとか理性で封じ込めようとした。
が、どうしたことか理性はどこかに出張中らしく、本能の命ずるまま茉莉の方にずいっと体を寄せた。
茉莉は俺の急接近に驚いて身を引こうとするが、俺は両肩をがっしりつかんで、至近距離で視線をからめた。
見たかった。
茉莉の瞳に、嘘がないことを。
俺が好きだというその言葉が、真実なのかを、知りたかった。