【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
初めての夜
――なんだか、体がふわふわする。
ふわふわで、このまま眠れそうなくらいに、気持ちいい……。
昨夜も午前二時まできっちり仕事をして、帰宅後に荷造りをしていたら、いつもの三時間睡眠が一時間の仮眠になってしまった。
そのせいか立った状態だというのに、ふにゃりと体の力が抜けてくる。
すると、耳元に「ちっ」っと、低い舌打ちが落ちてきた。
なんで、舌打ち?
と、ぼんやりする頭でゆるゆると考えていたら、今度は体がフワリと宙に浮いた。
どうやら社長に抱き上げられたみたいだけど、眠すぎて状況がよく判断できない。
「ったく、自分が熱を出しているのも気づかないって、鈍感すぎるぞお前」
なんか、ひどいことを言われている気がする。
でも、ゆらゆら心地よい揺れに身を任せているうちに、少しずつすうっと吸い込まれるように意識が落ちていく。
「あまり、無理をするなよ、ばか……」
言葉とは裏腹に。
耳元に落とされるその声は、とても優しくて。
泣きたいくらいに優しくて。
その優しさに包まれながら、私の意識は完全に落ちてしまった――。