【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
夢を見ていた。
カンカン照りの太陽の下で、亀子さんの入った水色バケツを抱えた私は、帰る家が分からなくて途方に暮れている。
体中が熱い。
熱くて、苦しくて、涙だけがぽろぽろと頬の熱を奪ってしたたり落ちていく。
お母さんと一緒に住んでいたあの家に戻ろうとするけど、道を歩いても歩いてもたどり着かない。
「亀子さん、家に帰れないよぅ……」
泣きながら、水色バケツの中の亀子さんに助けを求めれば、にょーんと首を伸ばした亀子さんがニッコリ笑って言う。
「茉莉ちゃん、大丈夫よ。ほら、あそこに新しいお家があるから」
亀子さんが水かきのある前足で、空の方を指さした。
「新しいお家?」
「そう、王子様が住んでいる白亜のお城!」
ついっと視線を上げればそこには――。