【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「何も、固く考えることはないさ」
その手がゆっくりと、制服のボタンを外しはじめる。
頭の上で押さえられていた手が片方になったことで、逃れられるかと力を入れてみるが、細身であっても相手は私よりも上背がある成人男性。
悲しいかな、びくともしない。
「放して」
怒りでショートしそうな気持をどうにか抑え込んで、低い声を絞り出す。
「せっかくこんな場所にいるんだから、楽しめばいい。なんなら、お小遣いをはずむよ?」
な、にを……!
いうにことかいて、『お小遣いをはずむ』って!?
怒りが沸点に達したせいか、妙に冷静になった。
この状況を脱する方法に考えを巡らせた私は、すうっと全身の力を抜いた。
もちろん、あきらめたわけじゃない。
あきらめたと見せかけるため、
相手の油断を誘うためだ。
案の定、彼は私が抵抗をあきらめたと思ったのか、私の手を押さえていた自分の手を外して、ニヤリと下卑た笑いを浮かべた。
その瞬間を見逃さず、私は柔らかいベッドに体を沈み込ませ、その反動を利用して思いっきり頭突きを繰り出した。
ゴチン!
とこの場の雰囲気にはふさわしくないコミカルな音が上がり、呻き声とともに男の体がわずかに離れた。