【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
裏切りの婚約者
さすがにお昼時。
ホテルの展望レストランのランチは結構な値段がするはずなのに、サラリーマンやOLとおぼしき人たちで満員御礼状態だった。
「申し訳有りませんが、ただ今満席で……」
と言いに来たウエイトレスさんに、高崎さんと待ち合わせだと告げると、話が通っているのかすぐに案内してくれた。
一番見晴らしが良い窓側の席。
私たちの婚約の会食に使った、正にその席だった。
グレーの背広とネクタイ。
銀縁のメガネを掛けた、落ち着いた雰囲気の理知的な男性。
『高崎さん』の姿を見付けて、私は心が躍った。
――だって。
ここしばらく『仕事が忙しい』ってろくにデートも出来なかったんだから。
顔もニヤケようってものよ。
それに、正直言うと、これからのことも色々と相談したかったし。
彼なら、きっと良いアドバイスをくれるに違いない。
そう、思っていた。