【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


「俺が知る限り、美由紀が一番信頼を置いている存在は、お前だと思うが」

「そうかなぁ……」

そんな自信はこれっぽっちもないけど。

「まあ、お前が心底驚いた反応を見てみたいっていう気持ちは、わからなくもない」

「なんですか、それ?」

そう言われれば、祐一郎さんがお兄さんだって教えてくれた時の美由紀は、この上なく楽しそうだったけど。

「美由紀は、私を驚かせたくて、内緒にしてたってこと?」

「そればかりじゃないだろうが、そんな目論見もあっただろうな」

そう言って、祐一郎さんは愉快そうに喉の奥で笑う。

「お前は、なんでも真正面から受け止めてくれるだろう? 俺たちみたいに周囲が強欲な大人ばかりの捻くれた世界で育った人間には、けっこうそれが新鮮で嬉しいものなんだ」

『周囲が、強欲な大人ばかりの捻くれた世界』。

その言葉に、美由紀や祐一郎さんが辿ってきた道のりを思い、胸の奥がチクリと痛んだ。

そんな私の心の中を読んだみたいに、祐一郎さんが耳元にささやく。

「そうやって、お前がまず人の痛みに寄り添おうとする人間だから、心配をかけたくなかったんだろう、美由紀も。妊娠の件にしても、つわりが治まって安定期に入ってから教えたかったと言ってたからな」

だから、と祐一郎さんは、私の頬に自分の頬を寄せて笑う。

「そんなに、しょぼくれるな」

なんだかんだいって、祐一郎さんは優しい。



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