【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
フワタリ……手形?
高校の簿記の選択授業でしか聞いたことがない単語の不穏な響に、私は盛大に眉根を寄せた。
一代で、小さな個人経営の運送会社を、県でも指折りの大規模な株式会社に育てあげた父は、地元でも有名人だ。
いつも自信満々で、社員をぐいぐい引っ張っていく。
文字通り、ダンプカーみたいな元気な人だ。
でも、声を詰まらせてがっくりうなだれる目の前の父には、いつものような『猛烈社長』の自信に満ちた姿は、かけらも見られない。
その姿に、私は、やっと父の言葉の意味を理解した。
会社が『父さん』じゃなく、『倒産』。
つまりが、『つぶれた』と父は言ったのだ。