【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「俺が順番に、丸・三角・バツでチェックしていくから、お前はそれを、四色ボールペンでひたすら記入していけばいいから。青は〇、緑は△、赤は×。それ以外のコメントは右端のコメント欄に黒で記入な。分かったか?」
淡々と早口で言われて、脳みそが付いて行かなない。
ええーと。〇は青、△は緑、×は赤、コメントは黒記入。何度か脳内で繰り返して、インプットしていく。よし。
「はい分かりました」
にっこり笑顔で答えれば、背広の上着を脱ぎ棄ててネクタイを外した社長は、おもむろに動き出した。
向かったのは、細い通路の最奥にあるバスルーム。
置いて行かれそうになって慌てた私も、クリップ・ボードを抱えて小走りに追いかける。
「行くぞ、バスルーム設備。広さ〇、デザイン〇、換気△、コメント、ジェットバス、テレビモニター付きだが換気が悪い」
早口でまくしたてる社長の言葉を脳内で反芻しつつ、間違えないように慎重にでもスピード重視でクリップ・ボードに挟まったチェックシートに記入していく。
「はい」
チラリと視線を送ってきた社長に大丈夫だと頷けば、社長は次のチェックにかかった。
「バスルーム備品・シャンプー。容器〇、分量△ コメント、使用感・保留」
「ほ、保留ですか?」
「実際使ってみなくちゃわからないだろうが」
「あ、そうですね!」
って、あれ? もしかして。
「シャンプーとか石鹸って、実際使ってみるんですか?」
思わず問えば、何を今更分かり切ったことを聞いている? と言いたげな硬質の視線が向けられた。