【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


――な……、

なんなの、この状況は?

「あの……、遅れて、ごめんなさい」

訳も分からず、やっとの事でそれだけを口にする。
私の言葉に、高崎さんと隣りに座る女性がチラリと目配せをした。

そこに垣間見える二人の『親密感』に、心の奥がザワザワと波立っていく。

「あの、高崎さん……?」

隣りに鎮座している方は、

どちら様でしょう?

答えを求めて、私は高崎さんの顔を覗き込んだ。

でも、視線が合わない。

彼は、視線を合わせようとしない。

今まで、こんなことはなかった。

いつだって、優しい穏やかな視線は、私に真っ直ぐ向けられていたのに。

ゴホン、と、沈黙を破ったのは、高崎さんの咳払いだった。

そして、伏し目がちにテーブルに視線を落としたまま、信じられないような言葉を彼は放ったのだ。

『婚約を白紙に戻したい』と。


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