【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「とりあえず、こんなところだな」
ベッドをチェックし終えた社長は、『ふむ』と両手を胸の前で組んで室内を見渡して言った。
お、終わり? 本当に終わった?
とぬか喜びして、まだ『実際使ってみるチェック』が残っていることに気づく。
どーんと肩を落としていると、二人掛けのソファーに腰を下ろした社長が、チラリと私に視線を向けると、ここに座れとばかりに空いた右隣りをトントンと叩いた。
――なんだか、ワンちゃん扱いされている気がするのは、気のせいですか?
なんて本音は、もちろん口には出せない。
ご希望通り私が右隣りに腰を下ろせば、社長は手のひらを上にして私の目の前に右手を差し出した。
思わず、『お手』とばかりに自分の右手を乗せそうになり、寸前のところでそうじゃないと気づいて、抱えていたクリップ・ボードをポンと乗せた。
真剣な表情で、チェックシートをチェックする社長の様子をびくびくと横目で盗み見る。
言われた通りちゃんと記入できたと思うけど……。
ドキドキしながら待つこと数分。
「ん、まあ、こんなところだな」
どうやら『可』がもらえたみたいで、ホッと胸をなでおろした。
「何か、飲むか?」
いきなり問われて、きょとりと目を丸める。
空調はちょうどいい温度になっているけど、動き回ったせいかなんとなく汗ばんでいる。
さすがに社長もハイペースで動いたから、喉が渇いたのだろう。
「あ、コーヒーか何か入れましょうか?」
「俺はいいが、お前はどうなんだ?」
あれあれ?
なんだか気遣ってもらっている?
思わぬ優しさを向けられて、頬の筋肉がへにゃりと緩んでしまう。