【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】


クスクスクス。

急に、この状況が滑稽に思えてきて、乾いた笑いがこみ上げてくる。

――馬鹿みたい。

ううん。

私は、きっと馬鹿なんだ。

今の今まで。

彼に別れ話を切り出されるこの瞬間まで、疑ってみたこともなかった。

彼に、私以外に付き合っている女性がいるなんて……。

大人で。

優しくて。

誠実を絵に描いたような人だと思っていた。

私に、嘘なんか付くはずないって、信じていた。

だから、ずっと会えなくても、「仕事が忙しいんだ」という彼の言葉を鵜呑みにしていた。

私は、この人の何を見ていたんだろう……。

続く冷たい沈黙。

そんな雰囲気に耐えかねたように、彼が口を開いた。


< 46 / 439 >

この作品をシェア

pagetop