【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
クスクスクス。
急に、この状況が滑稽に思えてきて、乾いた笑いがこみ上げてくる。
――馬鹿みたい。
ううん。
私は、きっと馬鹿なんだ。
今の今まで。
彼に別れ話を切り出されるこの瞬間まで、疑ってみたこともなかった。
彼に、私以外に付き合っている女性がいるなんて……。
大人で。
優しくて。
誠実を絵に描いたような人だと思っていた。
私に、嘘なんか付くはずないって、信じていた。
だから、ずっと会えなくても、「仕事が忙しいんだ」という彼の言葉を鵜呑みにしていた。
私は、この人の何を見ていたんだろう……。
続く冷たい沈黙。
そんな雰囲気に耐えかねたように、彼が口を開いた。