【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「婚約指輪は、好きに処分してくれていいから。その、君も色々大変だろうから……」
ぐさり――、と
鋭い刃物と化した彼の優しい声音が、私の心の裏側を、これでもかと深くえぐり取った。
何を言ってるの?
驚きと、もう一つ訳の分からない強い感情を身の内に感じながら、私は高崎さんの顔を見つめた。
否。
にらみつけた。
でも彼は、この期に及んでも、視線を合わせない。
「和彦さん……」
それまで沈黙を守っていた『僕の上司のお嬢さん』こと白川佳奈美嬢が、気遣わしげに高崎さんの腕に手を添えて名を呼ぶと、私の方をまっすぐ見すえた。
『バチバチバチ!』
漫画なら、画面いっぱいにそんな文字が飛び交い、電撃がスパークするに違いない。