【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
鳩尾のあたりから、ふつふつと湧き上がってくる感情。
これは、怒りだ。
不誠実な、彼への怒り。
初対面なのに、絵に描いたような敵意むき出しの女性への怒り、
そして、
間抜けすぎる、自分への怒り。
――だめだ。
これ以上ここに居たら、私は、何を言い出すか分からない。
ああ、今日してくればよかった、指輪。
そうしたら、思いっきり叩き返してやれたのに。
「……指輪は、宅配でお送りします」
声が、震える。
私はようやくそれだけの言葉を絞り出すと、静かに席を立った。
そのままクルリと身を翻して、早足でレストランの出口にむかう。
――さよならなんて、言わない。
お幸せになんて、絶対言わない。
私は、そんなに大人じゃない。