【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
『ウケケケ。最初から不釣り合いだったんだよ~。会社も倒産♪ 大学も中退♪ 婚約者にはポイっと捨てられて♪ 可愛そうな茉莉りん~♪』
手のひらサイズの黒悪魔茉莉が、黒いコウモリの羽をはばたかせて愉快そうに、私の周りで踊っている。
いつもなら、すかさず飛び出してくる白天使茉莉は出てこない。
出てこられない。
力の限り声を上げて泣いたなら、この胸の痛みは少しは和らぐのだろうか?
ああ、涙って際限ない。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を、備え付けのトイレットペーパーで拭い、『ちーん!』と鼻をかんでは、便器に落とし込む。
カラカラカラ。
チーン!
カラカラカラ。
チーン!
永遠に続きそうな、その無限ループを破ったのは、ドアのノック音だった。