【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
長時間トイレにこもって唸っていたから、具合が悪いのかと心配してくれたんだろうか?
「あ、はい。大丈夫です。占領しちゃってすみません……。どうぞ」
ペコリと頭を下げて、彼女の脇をすり抜けて行こうとしたその時。
すうぅっと、首筋の辺りから血が引いた。
クラりと視界が揺れ、世界が突然闇に包まれる。
――あ、やばっ……。
貧血だ、これ。
「ちょっ、ちょっとあなた!?」
クラクラクラクラ回る世界に、三半規管が悲鳴を上げている。
ストンと膝から力が抜けて、身体が傾いだ。
床に倒れ込む寸前、誰かに抱きとめられたような気がする。
フローラルの甘い香りが、ふんわりと漂った。
――ああ、なんだか、とってもいい匂い。
何の花の匂いだろう。
バラかな?