【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「外せない仕事があるとかで、帰ったわ。あの朴念仁は」
「あ、す、すみませんっ。すっかりお邪魔しちゃって……」
もう、馬にでもカバにでも、蹴られます。
そんな気持ちで恐縮していると、薫さんは頬杖をついて、『うふふ』と少し少女めいた笑みを浮かべた。
「気にしないで、アイツも可愛い女の子をお姫様だっこ出来て、喜んでいたから」
「はあ……そうですか」
ニッコリ満面の笑顔の薫さんに、何となく相槌を打ってから数秒後。
私はその言葉の意味するところに気付いて、ギクリと固まった。
――え?
お姫様……が、なんですって?
ぽん!
っと、私の脳裏に、子供の頃から大好きだった『シンデレラ』のラストシーンが甦えった。
やっと巡り会えたガラスの靴の姫君に、王子は愛を告白する。
『姫、どうか私の后になってください』
涙ながらに頷くシンデレラ。
優しい包容。
お姫様だっこ。
見つめ合う瞳、近付く二人。
そして――。