【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
情熱の、キス。
浮かぶエレベーターの情景。
鏡越しの、少し鋭さを感じさせる、瞳。
愉快そうに細められた、黒い瞳。
――あの人に、お姫様だっこされた?
ひ、ひ、ひゃーーーっ!!!
頭の天辺からつま先まで、一気に熱くなる。
特に顔は火を噴きそうだ。
「あ、え、う、あの、その、……重いのに、お手数をお掛けしました!」
脳みそとっ散らかり状態の私は、意味不明なセリフを吐きながら、勢いよくペコリと頭を下げた。
――ああ、恥ずかしい。
覗き趣味と思われたかも知れないことよりも。
修羅場を目撃されたかも知れないことよりも。
あの黒い瞳の持ち主に『お姫様だっこ』されたと言う事実が、どうしようもなく恥ずかしかった。