【番外編追加♪】オ・ト・ナの、お仕事♪~甘いキスは蜜の味~【完結】
「だから、気にしない気にしない」
薫さんは、一人で百面相している私を、優しい眼差しで見つめる。
初対面なのに、全然そんな感じがしない不思議な人。
お医者さんだから?
ううん。
それを抜きにしても、私はこの飾らない性格の、磯辺薫という美しい女性が好きになった。
「マフィンが食べたくなったら、いつでもいらっしゃい。また一緒に、お茶しましょ」
その笑顔は、うわっ面だけの社交辞令には、見えない。
だから私は、薫さんのその言葉が素直に嬉しかった。
美味しい食べ物と、楽しい会話。
人間、これがあれば、大抵のことは乗り越えられるような気がする。
――あはは。
食べ物で元気になるあたり、私ってゲンキン。
人生最悪の一日の終わり。
こうして私は、美味しいマフィンの食べられる場所と素敵な友人を得て、ちょっぴり幸せモードで家路についた。